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椎橋武史建築研究所
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(仮称)国際センター駅北地区複合施設

*プロポーザル最終11選

設計    SHNAMOS設計共同体

​      (代表:椎橋武史建築研究所)

所在地   宮城県仙台市

建築主   仙台市

主要用途  文化施設

種別    新築  |  プロポーザル、計画のみ

構造    SRC造、RC造、鉄骨造

      地上4階 地下1階

延床面積  約31,000㎡

設計期間  2024年6月〜8月

​(提案コンセプト抜粋)

震災から13年、数多くの震災記念施設が整備されてきたなかで、私たちは、他にない本施設の特徴である「ホール施設と複合された震災施設」の在り方を考えました。それが、施設をひとつながりで縦横に貫通する「クワイエット・パス」を中心とした建築空間です。震災へわれわれがどう向き合うべきか、死者を悼み地域の悲しみをどう継承するべきか、という問題に向かい合い、本プロジェクトでしか在り得ないクワイエット・パスの3つの建築的特徴にまとめました。

建物を貫通する表裏一体の空間であること:クワイエット・パスは、国際センター駅を降りてすぐの屋外広場から、また共有部分を含む劇場空間側から、訪れた人々の視線に常にさらされるオブジェクトとしてつくられています。内に震災の記憶を胚胎するクワイエット・パスの壁面に常に意識が向けられることで、日々催しが行われる施設の日常に、被災者への悼み・悲しみが入り込み、イベントを楽しんだあと帰路につくわれわれの心に震災の記憶を刻みます。

長く折れ曲がった道であること:クワイエット・パスは、全体を一望できるかたちにはなっていません。記念碑でも礼拝堂でもなく、見通せない曲がりくねった道を歩く小径です。深い地下空間へ降り、震災の記憶にふれながら、曲がり角を曲がり、最後に震源を指し示す大きな開口部と対峙します。巡礼や托鉢の僧侶のように、沈思黙考し、深い内省を促す、歩くことそのものが祈りとなるような空間です。

空間や光が相互貫入していること:クワイエット・パスは自立した閉鎖的な空間ではなく、いくつもの孔があき、ホール側の空間と貫入し合っています。静かなパスで震災に思いを馳せ歩きながらふと目を上げると、復興された明るい日常の光とほのかな音楽が降り注ぎます。またイベントで高揚した気持ちでホール側を歩く時、ふっと眼下に静寂に沈んだパスの空間があらわれます。暗と明、過去と未来、絶望と希望が入り混じることで、震災の記憶と復興の現在・未来への想像力を喚起します。

 われわれは、怠惰で、軽薄で、忘却しやすい存在です。震災の記憶も、消費され、すでに風化しつつあります。記憶と継承に必要なのは、ウェブに流通するインスタントな知識をそのまま消費するのではなく、時間を使い、自らの目で見て、感じ、咀嚼し、考えることです。新しい仙台市のホールとクワイエット・パスは、ストリートビューやSNSでは決して感じとることのできない複製不可能な時間と体験を、われわれに与えてくれると考えています。

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​クワイエット・パス

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​クワイエット・パス構成イメージ

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椎橋武史建築研究所 TAKESHI SHIIBASHI architects

福岡県久留米市の一級建築士事務所

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